原子力発電が必要と考える2つの理由

 

リスクの比較


電力政策において、「原発事故のリスク」と「電力供給不足のリスク」とではどちらが問題なのか。あるいは、確率としてどちらが起こる可能性が高いのか。
電力の供給が不足すれば、例えば、冬場の北海道の人達は凍死してしまうし、夏場はお年寄りなどが熱中症になってしまう。こうした国民の生活レベルの問題だけではなく、医療、軍事、行政とあらゆる分野で電力供給は不可欠となっているため、これを途絶させてしまうと国家、あるいは経済、社会が機能不全に陥ってしまう。現状、脱原発政策は、電力供給力を低下させ、供給能力を不安定化させる政策であるため、原発事故のリスクよりも大きなリスクと考える。
確率に関しても、原発事故のリスクのほうが低いと見る。先の東日本大震災において、女川原発冷温停止に成功している。その理由は津波対策として、標高14.8mの場所に建設されていたのが大きい。つまり、裏を返せばそうした津波対策さえ施していれば、ブラックアウトという事態も発生せず、その後も惨状もなかったかもしれない。
しかし、「電力供給不足のリスク」を化石燃料主体で補うのは、輸入先の地政学的リスクなど外部要因が主体となるため、日本がコントロールできる部分は少なく、その対処は容易ではない。


万全のエネルギーはない


原発推進だが、自然エネルギーに反対というわけではない。なぜならば、自然エネルギーの普及もまた、「電力供給不足のリスク」を低減するからだ。しかし、だからといって再生エネルギー買い取り法には同意できない。国民の実質賃金が11ヶ月連続で低下し、かつ消費増税後、下げ幅が倍以上に拡大している中、国民の電気料金の負担が増すような政策を取るべきではない。
原発には事故時のリスクの問題、火力はCO2や化石燃料の高騰、オイルショックのような地域紛争によって輸入量が低下するなどの問題、自然エネルギーには、天候に左右され安定供給が難しい、価格が高い、設置場所が難しいなどの問題をそれぞれ抱えているので、それぞれの長所を生かしつつベース電源を分散化させ、安定的な供給を目指していくのが我が国の電力政策として正しい道ではないかと思う。