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自然災害があるならそこに住まなければ良いじゃない、という理論に対する反論


自然災害が大変だというなら、リスクの高いところは自然に返せばいいんじゃないか: やまもといちろうBLOG(ブログ)

 

もちろん政府の責任として災害に直面した日本人同胞に対する救済は可能な限り行うにしても、財源は限られており、人口も減っていく状況の中で、投下した復興や再開発に見合う国富がきちんと回収できるのかと考えたときに、やはり一定の歯止めはかけなければならないという議論が起きるのは仕方のないことだと考える

 角が立たないように言葉を慎重に選んでいるが、要するに災害に遭った地方の過疎地域において防災対策などに投資してもリターンはないので意味は無い、切り捨ててしまえということである。

 そもそもが、「投下した復興や再開発に見合う国富がきちんと回収できるのか」という発言に違和感を覚える。これは民間企業の論理である。逆に政府の場合、利益や生産性向上には繋がらないが、社会のためになることをやらなければならない。そうしなければ、地域間の格差はますます広がっていき、東京など大都市にだけヒト、モノ、カネが集中していく。その結果、例えば首都直下型地震の想定経済被害額は112兆円に上っている。*1

したがって、M6.0以上の地震の2割が起こる我が国*2の場合、地震など災害の被害も踏まえ長期で見た場合、一極に集中させるのではなく、分散させたほうが効率が良いのだ。だから、我が国の国土強靭化基本法においても、多極分散型の国土形成を計画している。*3

また、「リスクの高いところは自然に返せばいい」というが、ではリスクが高い場所とは具体的に一体どこなのか。海沿いに住めば津波がある。山沿いに住めば土砂災害や噴火がある。都心に住めば犯罪被害のリスクや首都直下型地震などのリスクがある。台風はどこに来るかわからないし、豪雨だっていつどこで降るかわからない。

もちろん、行政にも限界はあるのである程度、危険度の高い地域において各種安全規制は必要だろう。しかし行政は決して万能ではないし、そもそも日本に住むこと自体リスクが高いという結論になりかねない。したがって、ハード面においては防災対策を拡充していき、ソフト面においてはその地域に住むための避難対策などの作法を身につける。そうして自然と向き合いながら、人間は生きていかなければならないのではないだろうか。