「公共事業はそんなに大切か」にいくつか指摘

ちょっと目に余るのでいくつか指摘を。

公共事業の執行が遅れてる?

公共事業も人手不足や資材の高騰で執行がかなり遅れている

こういうことを言う人がよくいますが、「執行がかなり遅れている」というのは事実ではありません。以下引用。

財務省がまとめた9月末時点の実施率は、13年度補正予算分が1・7兆円の予算額に対して88%、14年度予算分が9・2兆円の予算額に対して62%。政府は上期の執行目標として13年度補正予算分9割程度、14年度当初予算分6割以上を掲げていた。13年度同期は、12年度補正予算分が3・5兆円に対し て76%、13年度当初分が9兆円に対して49%となっており、本年度はいずれも10ポイント以上上回る高い実施率となった。

ニュース 2014/12/03 4~9月の公共事業執行状況/実施率、10ポイント超上昇/財務省

 

政府支出拡大に効果はない?

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出典:公共事業はそんなに大切か

青=アメリカのGDP 赤=政府支出

 さて、もう1つはこのグラフの意味ですが、2008年9月にリーマン・ショックが起きています。したがって、その翌年には、アメリカの景気は後退し、GDPはガタ落ちします。政府支出を増やしたから落ち込んだわけではありません。その状態で財政を緊縮すると、大恐慌時のフーバー政権の時のように、失業率がさらに悪化するため、政府が支出して景気を下支えしたのです。

その結果、景気が回復。景気が回復した状態で政府支出を増やし続ければ、景気が加熱しすぎ過度なインフレ懸念が出てくるため、政府支出を減らし景気の加熱を抑えたのです。

つまり、アメリカは、ケインズ主義的な政策を施したということになります。

クラウディングアウトについて

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出典:藤井 聡 - タイムラインの写真 | Facebook

 この図だけ見てもわからないと思うので補足します。

公共工事の87%は土木(橋・道など)です。民間工事の84%は建築(ビル・住宅など)です。土木と建築では8割ほどの業者が棲み分けられています。

つまり、主に橋や道路を作る土木と、主にビルや住宅などを作る建築とでは多くは業者が異なるため、クラウディングアウト(民業圧迫)は起きづらい、ということです。

 まあ、でも安部総理は公共事業を増やす気はおそらくないですよ。今度の補正も主に商品券を3兆円ほどやるだけのようですし。

経済対策3兆円規模、1兆円上積みへ…政府方針 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

なので、懸念する必要性はさほどないでしょう。