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モノが運べない!?物流危機を見て


モノが運べない!?“物流危機” - NHK クローズアップ現代

日本の経済を支える大動脈「物流」。しかし今、消費地や取引先にモノが運べなくなったり、配達に遅れが出たりするなどの“物流危機”に陥る恐れが指摘されている。

 背景にあるのが7万人にのぼるとされるドライバー不足。ネットショッピングの拡大などで宅配荷物量が増加、即日配送などの「小口・多頻度」輸送が拡大し、それに欠かせない長距離ドライバーの不足がさらに加速する見通しとなっているためだ。

こうした事態を受け鉄道や船で運送する「モーダルシフト」を 進めようという動きもあるが、輸送量に限度があるなど課題も残されている。日本経済にとって、新たな、そして大きな課題となりつつある物流危機にどうすれば対応できるのか。物流の現場からその将来像を考える。

ざっと内容を箇条書きすると

・他業種と比べ労働時間が長く、所得が低い水準にあるため、ドライバーが定着しにくい
・また荷物の積み下ろしに際して、ドライバーの肉体的負担があるため、その軽減策も必要

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モーダルシフト
・トラックドライバーが不足する中、見直されているのが鉄道輸送
・すでに鉄道貨物の物量は増加に転じている
モーダルシフトの課題
 ・貨物列車は、JR旅客各社から線路を借りて列車を走らせているため、簡単に貨物列車の本数を増やせない

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 内容については、異論はないのだが人手不足がどの程度起こっているのか気になったので、いろいろ調べてみた。

 

トラックドライバーの人口と物量の推移

 

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出典:日本のトラック輸送産業-現状と課題-2013

 右側の輸送・機械運転従事者数が主にトラックドライバーということになるのだが、総数では、ここ10年ではほぼ横ばいに推移しているし、むしろ一番少ない年より6万人ほど増えている。ただし、ピーク時の平成6年の92万人よりは減っている。*1

では、物量はどうなのか。

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出典:日本のトラック輸送産業-現状と課題-2013

 まず、輸送トン数と輸送トンキロの違いについて簡単に説明したい。輸送トン数は純粋な物量である。輸送トンキロはトン数×距離のこと。例えば、5tのものを30キロ輸送したとすると5t×30kmで150トンキロとなる。ちなみに物流の9割はトラックが支えてると言われているが、それはトン数ベースの話で、トンキロになると5割ほどとなる。

話を物量の方に戻すが、合計値はトン数にしてもトンキロにしてもここ10年ほどでは減少傾向だ。これは建設需要の減少により建設資材の輸送が減少したり、リーマン・ショックの影響で輸送需要が減ったため。

 

物量が減り人手は維持されているのに人手不足?

まあ、データが平成24年だったり、平成25年だったりするので何とも言えないところはあるが、現在、人手不足が起こっていたとしても局所的であり、全体としては人手は維持されており、物量は減り続けている。だから、所得も減り続けている。で、その局所的な人手不足が起こっているのは、クローズアップ現代でも取材されていた宅急便業界だろう。

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出典:日本のトラック輸送産業-現状と課題-2013

 宅急のほうはスマートフォンの普及やアマゾン・楽天などネット通販の需要が増えているので予想していたが、メール便のこの増え方は予想外だった。特に、平成18年から19年にかけてほぼ倍増しており、これはメール便が廃棄されるなどの事件が起こったのも頷ける。

 

 ただし、先々全体的な人手不足が起こる可能性も

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出典:日本のトラック輸送産業-現状と課題-2013

ただし、若いトラックドライバーが以前より減っているのも事実なので、人手不足に備え、賃金の改善、労働時間の削減、荷運びなど肉体的負担の軽減、女性の労働参加、モーダルシフトなど今のうちにやれることをやっておくことが重要であり、業界全体にある程度はその意識もあるので、国交省が悲観的な指標を出し脅した甲斐があったということだろう。

また、幸いな事に2015年現在、原油価格が下降し続けており一部の運送業者では営業利益の改善も進んでいるようである。ただ、もちろんこれは中長期的にはどうなるかわからない。しかし、こうした人手不足騒動により雇用環境が改善されることが、未来における人手不足を改善する良い機会になるだろう。

 

 

参考資料

日本のトラック輸送産業-現状と課題-2013

http://www.jta.or.jp/keieikaizen/keiei/keiei_bunseki/img/H24_keieibunseki_gaiyo.pdf