高齢化はデフレを起こすというデタラメ


高齢化はインフレ圧力強める公算-前日銀総裁らの見方に異議 - Bloomberg

 

ミカエル・ジュセリウス、エロッド・タカッツ両氏は、若年層と高齢者層が生産より消費を多くすることでインフレ圧力を高めると指摘。人口においてより大きな割合を占める労働年齢の人々はその反対で、物価圧力を弱めるという。先進22カ国の1955-2010年のデータを基に研究論文をまとめた。

 

両氏は「われわれの研究結果は高齢化が最終的にインフレ圧力を小さくするのではなく、高める可能性を示唆しており、支配的な見方と逆だ」と説明。「インフレ圧力が最も大きいのは高齢化が最も急速に進むと見込まれる国々になるだろう。ギリシャやイタリア、韓国、スペインは5ポイント以上のインフレ率上昇に見舞われる可能性がある」とコメントした。

 

これに少子化が加わると少子高齢化だが、少子高齢化とは少子化によって労働人口が相対的に減り、高齢化により労動をせずに消費のみする人口が、相対的に増えるということである。

相対的に数が多い高齢者の消費需要を満たす供給力、労働者が不足してくるのだから、人手不足となり、賃金は上昇する。したがって、インフレとなる。

ただ日本の場合、そうことは単純に上手くいかない。

なぜ人手不足にも関わらず、賃金が上がらないのか

人手不足にもかかわらず、賃金の上昇率が鈍いことの要因の1つは、非正規雇用の増加にある。

総務省労働力調査によると、14年11月の雇用者数(役員を除く)は5294万人で、うち非正規は前年同月比48万人増の2012万人と増えた一方、正社員は同29万人減の3281万人に減少。全労働者に占める非正規の割合は38・0%に達し、30日に発表する暦年ベースでも過去最高となる見通しだ。

出典:止まらぬ非正規雇用、5年連続増で最多更新−2000万人突破:日刊工業新聞

人手不足を非正規雇用で補っているため、賃金が上昇しない。

また、有効求人倍率は平成27年度の1月時点で、1.14だがその内容を見るとパートタイムは1.33、正社員は季節調整値で0.70である。全体として日本で不足しているのは、低賃金労働者なのである。*1

もう1つは、消費増税による景気の失速。景気が失速しているにもかかわらず、企業が労動者の賃金を上げようとはならない。

安部総理は、実質賃金を上げるという趣旨の発言をしているが、2017年に消費税を10%に上げるという発言から、根本的に何が原因で実質賃金が抑制されているのか理解しておらず、ブレーンの竹中に至っては「正社員を無くそう」などと訳の分からないことを言っている始末。

だめだこりゃ。

 

参考資料

ぼくらがメディアをつぶすわけ 少子高齢化でデフレになるというウソ

【柴山桂太】賃金の謎 | 三橋貴明の「新」日本経済新聞

「人手不足」でも"給与の上昇率"が低いのはなぜ? | マイナビニュース

一般職業紹介状況(平成27年1月分)について |報道発表資料|厚生労働省

「非正規雇用」の現状と課題 |厚生労働省

物価上昇で「実質賃金」15か月連続減少 首相は経済界に「賃上げ」再要請 | キャリコネニュース

人手不足対策の空騒ぎ 労働、社会問題/ウェブリブログ

 レジーム・チェンジ―恐慌を突破する逆転の発想 (NHK出版新書 373): 中野 剛志: 本

*1:www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11602000-Shokugyouanteikyoku-Koyouseisakuka/0000032973_2_1_1_3_1_6.pdf#page=3