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安部総理のトリレンマ

OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0506kichokoen.html

 

経済再生、財政再建国際競争力の強化。

これら3つは一見同時に達成できるように見えるができない。

順を追って説明しよう。

 

1.経済再生と財政再建

経済再生つまり日本の場合デフレからの脱却である。デフレとは簡単に言ってしまえば需要不足のこと。現在日本では、民間部門の投資・消費が不足している。民間部門が不足しているなら政府部門が消費・投資・雇用などをするしかない。そこでアベノミクスの1つである財政出動というわけだが、財政出動したら当然、財政再建は同時にはできない。と言って財政再建を優先させたら財政出動つまり経済再生ができない。わかりやすい例で言えば消費増税増税して消費が増えるわけがない。

こういうと構造改革すれば良いとか規制緩和すれば良いとか成長戦略があれば良いとか言う意見が出てくるんだろうけど、それらは需要回復に結びつかないし、少なくとも財政出動財政再建が矛盾するのは確かだろう。

 

2.経済再生と国際競争力の強化

どう考えてもこれは両立するだろうという人がほとんどだろうが、残念ながら両立しない。繰り返すが日本における経済再生とはデフレからの脱却であり、デフレとは需要不足のことである。したがって、国民の賃金が上がるべき政策を打っていかなくてはならない。一方で国際競争力の強化は、法人税を減税し労働者の賃金を抑え輸出で勝っていこうという戦略である。現に安倍政権では外国人労働者の活用、女性の社会進出など労働者を増やし賃金を抑える方向の主旨の政策が議論されている。

しかし、労働者の賃金を抑えたら当然国内の消費は上がらないし、消費が上がらなければ需要が伸びるわけがない。需要が伸びなければ当然デフレから脱却できない。また矛盾してしまうわけだ。

 

3.国際競争力の強化と財政再建

これはもう上記を読めばわかるだろうが、国際競争力強化のために法人税を減らすことが甘利大臣などから意見が出ているが、これは当然財政再建と矛盾する。この矛盾を補うために配偶者控除の廃止や中小企業の税制優遇の廃止などを検討しているようだが、黒字企業の減税のためになぜ中小企業の税制優遇や配偶者控除を失くさなければならないのか理解に苦しむ。

 

4.結論

日本における根本的な問題はデフレだ。デフレから脱却し所得を回復させれば所得税収が増える。ピーク時は26兆あったのが今や13兆なのだからそりゃ財務省も消費増税実行したくもなる。ただ、デフレ期の増税は需要を縮小させ、長期的にはデフレを悪化させるので悪手だ。

また、デフレから脱却すれば内需が拡大するので国際競争力の強化に走る必要性は薄まる。そもそも国際競争力の強化の大義名分は、日本が少子高齢化で需要が減っていくということだが、人口増加率がマイナスで経済成長している国はドイツ、ロシアなどいくらでも例がある。

デフレからの脱却のために政策の方向性を一致させることが日本再生への第一歩となる。