格差是正と経済成長はトレードオフなのか?
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「消費税増税は、景気にはさほど大きなダメージにはならないだろう」*1で、お馴染みの慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗センセが、おかしなことばかり言ってるので、ネタもないし指摘してみる。
「ただ、格差是正ができても経済活力を損なうようでは、身もふたもない。」
「累進所得税も資産課税も、一見すると格差是正に効果的と思われるが、経済活動を萎縮させる意味では両刃の剣、トレードオフ(二律背反)である。」
出典:焦点がずれている、アベノミクス選挙 | 岐路に立つ日本の財政 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト ~土居丈朗
ここでは、かなり極端な例を出して、格差是正と経済成長がトレードオフの関係にあるように論じている。あるいはもっと言うと、格差是正は経済成長を阻害するかのように論じている。しかし、適切な所得配分は、格差を縮小させ経済成長に貢献するということを、なんとあのIMFが報告書を出している。以下引用。
所得格差は経済成長鈍化や成長の持続可能性を低下させる恐れがある一方、所得再分配政策はある程度限定されている限りは、経済に打撃を与えず、プラスに働く場合さえもあることが判明した
またOECDのワーキングペーパー「所得格差の動向と経済成長への影響」によると
多くの国において所得格差が経済成長を損なっており、その主な要因は貧困層への教育投資不足であることがわかった
としている。
土居センセの言うとおり、 確かに行き過ぎた所得再分配政策は、経済にマイナスの効果を与える。しかし、適切な所得再分配政策は、格差を是正し経済にプラスに働く場合さえある。また、OECDのレポートでも所得格差が経済成長を損なうとしている。
つまり、土居センセの言う「格差是正ができても経済活力を損なう」などということは、よほど極端なことをしなければ、起き得ないのだ。